離乳食が始まる頃、気になるのが鉄分不足。
鉄玉子を使うと、どのくらい効果が期待できるんだろう?
「赤ちゃんのための補完食入門」を読んでから、息子の鉄分不足が気になっているリケジョママ(@rikejomama)です。
この記事では、離乳食(補完食)作りに鉄玉子を使うことで、赤ちゃんの鉄分不足を予防・改善できるのか検討します。
- この記事の要約
- ☑︎鉄玉子の鉄分溶出量は、ごくわずか。
☑︎鉄玉子を使用すると、貧血が改善したという研究もある。
☑︎鉄玉子だけでは、乳児の鉄分不足予防・改善には不十分の可能性が高い。
鉄の溶出量はごくわずか
鉄玉子とは
鉄玉子とは、鍋に入れてお湯を沸かすだけで、鉄分がお湯の中に溶出し、不足しがちな鉄分を補給できるという便利グッズです。
キティちゃんや、スヌーピーなど、様々な形の鉄玉子が売られていて可愛いし、何度でも使えるエコで便利な商品。
これで離乳食を作ると、どのくらい鉄分を補えるのでしょうか?調べてみました。
鉄玉子の鉄分溶出量は0.069mg
岩手大学の測定のよれば、「ザ・鉄玉子」を1個入れて1Lの水を沸騰させた時の鉄分溶出量(1)は以下の通り。
書籍「赤ちゃんのための補完食入門」によると、鉄分を意識した離乳食(補完食)でも、なお推奨量まで2mg以上足りていません。(生後6~11ヶ月の鉄分推奨量は1日あたり、男児で5mg、女児で4.5mg(2))
そのため、鉄玉子の鉄溶出量では鉄分不足を補いきれないことが分かります。
鉄玉子と貧血改善の研究
鉄分溶出量からすると”意味がない”と思われがちな鉄玉子ですが、貧血の改善に一役買うかも?という研究結果も見つけたので、ご紹介します。
貧血が改善する可能性も…?
鉄玉子を使った時に、貧血の指標が改善するのか検討した研究(3)によると、3つの研究のうち1つの研究で血色素量(ヘモグロビン値)が改善したという結果が発表されています。
さらに言えば、これらの研究は栄養状態の悪い発展途上国を対象とした研究になります。
医師によれば、もともとの栄養状態が極端に悪い場合、ごく少量の鉄分を補うだけで効果がある場合もあるそうです。(4)
栄養状態が良い日本人においても同じ結果が期待できるか、ちょっと疑問だね。
鉄玉子のメリット
と言っても、鉄玉子には下記のようなメリットもあります。
鉄玉子から摂取できる鉄分は吸収率が良い
鉄玉子から溶出する鉄分は吸収されやすい2価鉄なのが、最大のメリットです。
鉄分が豊富と有名な”ほうれん草”を離乳食(補完食)にとり入れても、残念ながら9割以上の鉄分は吸収されません。
一方、鉄玉子から摂取できる鉄分は、吸収されやすい2価鉄なので10~20%程度の吸収率が期待できます。
鉄分の溶出量をあげる工夫
さらに、鉄玉子を「レモン」や「酢」と一緒に煮出すことで、鉄の溶出量を増やすことができます。
酸性の水にすることで、鉄が溶けやすくなるためです。
また、レモンに含まれるビタミンCは、鉄分の吸収率をあげてくれるという嬉しい効果も。
工夫次第では、上記に示した鉄分量よりも多くの鉄分を摂取・吸収できる可能性もあるのです。
だけど、離乳食に酢やレモンを使うのは、現実的ではないかも・・・。
まとめ
鉄玉子は、便利な商品ですが離乳食(補完食)の鉄分不足を補うには、少々力不足と言わざるを得ないことが分かりました。
ただし、工夫次第では鉄分の溶出量・吸収率をあげることもできます。(だからと言って、乳児に必要な鉄分が補いきれるかと言われるとちょっと難しいかも・・・。)
ということで最近では、鉄分を強化したベビーフードやおやつが売られているので、そういった商品を賢く使うのが鉄分を補うには確実なのかな、と個人的には思います。
鉄玉子、便利そうで期待しただけに、ちょっと残念。
参考資料
(1)南部鉄器 南部鉄瓶 急須 鍋 風鈴 南部鉄いろいろ (2023年1月24日アクセス)
(2)日本人の食事摂取基準(2020年版)
(3)PLoS One 2019; 14:e00221094
(4)鉄鍋や鉄玉子は、鉄欠乏性貧血の治療に役に立ちますか? (2023年1月24日アクセス)
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