「育休中でキャリアがストップしている」もしくは、転勤族妻で「1つの会社でキャリアを築くのが難しい」という人、多いですよね。
同世代の友達が仕事で昇進している姿を見たりすると、「みんなは着実に実績を重ねているのに、自分は一体何をやっているのだろう…」と取り残された感に悩むことはないでしょうか?
実際これ、私自身、ずーーっと頭の片隅にある悩みなんですが、LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略を読むことで「人生の時間はたっぷりある。今は、今できることに注力していれば大丈夫」と思え、随分、この悩みが解消されたので、ポイントをシェアします。
ライフシフトという本をざっくり紹介
本書は、「人生100年生きるのに、お金や仕事をどうしたらいいの!?」という話です。
まぁ、よく言われているように超高齢化社会に突入し、私たちの世代は、年金が貰えるかも分からない。
一方で寿命は伸びていて、あなたもかなり確率で100歳まで生きる。そこまで生きるために、何歳まで働いて、収入の何%を貯蓄に回しておけばいいのか?
そんな疑問に対して本書では、入念なシミュレーションが行われている。
で、100年生きると考えると、私たちは収入の25%を貯蓄しなければならない。
もしくは、80歳までとか、長く働くしかない。
人生100年時代の「マルチステージ」という働き方・生き方
「60年もの長期間、過酷な労働に従事するのは現実的ではない」と著者も述べている。
そこで登場するのが「マルチステージ」という生き方だ。
これまでは、教育・労働・老後という3ステージの人生が基本だった。同世代の人は大体同じような経験をして、人生の階段を登っていく。「画一的な一斉行進」である。
ところが、人生100年時代に3ステージライフを行おうとすると、労働の期間が60年と長くなりすぎる。もしくは、60歳で引退しようと思ったら、現役時代にかなり節約して貯蓄しなければならない。
どちらも過酷だし、充実した人生を送るのに現実的ではない。
新しく著者が提案する「マルチステージ」という生き方では、自分探しをする「エクスプローラー」、組織に属さず仕事をする「インディペンデント・プロデューサー」、様々な仕事や活動に関わる「ポートフォリオワーカー」といった新しいステージが出現する。
今までは労働という一括りにされていたステージに、これらの新しいステージが組み込まれていく。
組み込まれる順番は個人次第なので、今までのような「画一的な一斉行進」というのがなくなり、色んな世代が様々なステージで混じり合う。
これが、育休中もしくは転勤族妻の「取り残された感」という悩みを解消するためのミソです!
育児中は無形資産を築くステージ
さて、ここまでお金の話を中心にポイントをおさえてきました。お金はつまり有形資産のこと。
本書では、有形資産の他に「無形資産」の重要性も説いています。
無形資産とは、家族や友達関係、人的ネットワーク、心身の健康、自分についての深い知識などのこと。
有形資産と無形資産はどちらか一方があれば良い、という訳ではありません。
一昔前の3ステージの生き方では、「教育」のステージで無形資産を増やし、「労働」のステージでは自分の活力や友人関係・家族との関わりなどの無形資産を減らしつつ、有形資産を増やし、「老後」のステージで再び無形資産を取り戻す一方で、有形資産は減っていく、というようにバランスを取っていた。
しかし、この生き方のまま「労働」のステージをぶっ続けで60年やるとしたら、無形資産が枯渇しまう。
そのため、エクスプローラーやインディペンデントプロデューサー、ポートフォリオワーカー、もしくは教育というステージを途中で組み込むことによって、有形資産と無形資産のバランスをとることを図る。
時には夫婦で、どちらか一方がエクスプローラーになりたいから、もう一方がその期間、労働に特化し、その後役割を交代させる、なんてことも起きてくる、と著者は言う。
育児中や転勤族の妻という立場でキャリアを思うように築けない時、まさに著者が言うように一時的に夫が労働に特化しているだけ、と考えると気持ちが楽にならないだろうか?
妻側はキャリアがストップしているのではなく、「エクスプローラー」や「インディペンデントプロデューサー」というステージにいるだけ。
つまり、育児をしながら、エクスプローラーとして自分に向き合い深く知ろうとしてもいいし、インディペンデントプロデューサーとして、個人事業主として働いてもいい。
こうしたステージは、有形資産はあまり築けないが、無形資産を築く大切なステージである、と本書は説く。
長寿を味方につけて育児を楽しく
本書は、長寿をネガティブなイメージからポジティブなものに変えてくれる1冊です。
働く期間が40年から60年に延びると聞くと絶望を味わいますが、60年に延びることで色んなことにチャレンジが出来る、とも考えられるのです。
社会人になってから、浪人した人や留年した人のことを気にしなくなったと思いませんか?
それって、高校の3年や大学の4年といった短期間の枠組みの中で考えると、1年は重みがあるように感じますが、社会人という40年、いや本書によれば60年の枠組みで考えると、1年なんて本当に短い期間だからですよね。
それと同様で、育休中や転勤族の妻という立場で周りから遅れをとっているように感じているこの数年も、60年という長い枠組みで見ると大した差ではないように思います。
むしろ、長い期間働くにあたって、自分を見つめ直すいい機会と捉えて、前向きに過ごそうとさえ思えてきました。
長寿になったからこそ、育児に注力できる時間もできたし、育児がひと段落した後、再びキャリアを築く時間もたっぷりあります。
なにしろ私たちが高齢者になるころ、80歳まで働くのが当たり前の社会になっているかもしれないのですから。
育児は「育自」というように、子育てから学ぶことも多くあり、決して何もしていない、周りから遅れをとる期間ではないと思うようになりました。
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