離乳食を開始する時、気になるのがアレルギーですよね。
「初めてあげる食材は1日1つまで、午前中に、ごく少量から試す」という大原則は知っている方も多いと思います。
あまりアレルギーの原因にならないような食材でさえ、こんなに慎重にあげるのだから、卵をあげはじめるのがとっても怖く感じました;;
「卵をいつからあげよう・・・」「卵をあげはじめるのが怖い!」と思っていた過去の自分が、卵をあげるに当たって参考にした科学的根拠をご紹介します。
授乳・離乳の支援ガイドを参考に
「アレルギーを予防しつつ、卵をどのようにあげるのか?」参考になるのが、厚生労働省が発表している「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」です。
本ガイドは、2007年から改訂されていませんでしたが、2019年、12年ぶりに改訂となりました。最近改訂されたものであるため、第2子以降を育てている方は、前の子の時と指導内容が変わっている可能性がありますので、ご注意ください。
2019年から卵の推奨開始時期が5〜6ヶ月に前倒しに。
卵の開始時期は、2007年版では7〜8ヶ月でしたが、2019年版では5〜6ヶ月に前倒しになっています。
理由は、卵をあげるのを遅らせるメリットがない、ということがハッキリと研究によって示されたからです。
食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はないことから、生後5~ 6か月頃から離乳を始めるように情報提供を行う。
授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)
食物アレルギーのリスク因子
「授乳・離乳の支援ガイド」に記載されている食物アレルギーのリスク因子は、4つ!
- 遺伝的要素
- 皮膚バリア機能の低下
→保湿でリスク回避できます◎
- 秋冬生まれ
→乾燥によって、皮膚のバリア機能が低下するので。保湿でリスク回避できます◎
- 特定の食物の摂取開始時期の遅れ
→卵も5〜6ヶ月から開始することでリスク回避できます◎
これを見ると、卵を開始するのを遅らせるのは、アレルギー予防に意味がないどころか、逆にリスク因子にもなるということです。続いて、この根拠となる研究も紹介します。
6ヶ月からの卵摂取でアレルギー発症率8割減
卵を開始する推奨時期が前倒しになったのは、2016年に国立生育医療研究センターが発表した研究が根拠になっています。
この研究は、卵アレルギーのリスクが高い赤ちゃん(生後4ヶ月までにアトピー性皮膚炎を発症した子)を対象として、生後6ヶ月から卵を食べさせる子と、卵の代わりにかぼちゃの粉末を食べさせる子に分け、1歳になった時の卵アレルギー発症率を比較したものです。
結果は次の通り。
・生後6ヶ月から卵を摂取した子 → 卵アレルギーの発症率 8%
・かぼちゃ粉末を摂取した子 → 卵アレルギーの発症率 38%
かぼちゃ粉末を食べていた子の発症率38%と比較すると、生後6ヶ月から卵を食べた子の発症率はなんと、8割減の8%。
卵アレルギーになるリスクが高い子を対象にした研究ですので、特にリスクのない赤ちゃんなら、もっと発症率が低くなるはずです。
しかも、ランダム化比較試験という、エビデンスレベルの高い研究手法で示された結論ですので、現時点では最も信頼性の高い情報と言えます。
1歳まで卵を避けていた子が38%発症したのに比べて、生後6ヶ月から摂取した子の発症率はたったの8%!私はこの研究を見て、なんとなく怖かった息子の卵デビューを決心できました☆
以前は7〜8ヶ月での開始を推奨していた理由
ちなみに、これまで卵が7〜8ヶ月で開始するように、という指導があったのは、エビデンスレベルが低い研究を元に、アレルギーの原因となる食材は早くから摂取しない方が良いと言われてきたためです。
しかし、カナダやアメリカ(赤ちゃんにピーナッツをあげない)でピーナッツアレルギーの患者が多いのに対して、赤ちゃんの時からピーナッツをあげる習慣のあるイスラエルにおいてピーナッツアレルギー患者が少ないことがわかってきたことをきっかけに、
「アレルギー原因となる食材の摂取時期を早めた方が良いのではないか」という仮説のもと研究が行われ、育児の常識が変わったという経緯のようです。
日本では、ピーナッツアレルギーがあまり問題にならないことから特に指導はされていないですが、ピーナッツも同様に赤ちゃんの頃からあげた方が、アレルギーの発症率が低くなるというエビデンスが示されています。
まとめ
卵アレルギーが怖くて、卵をあげ始めるのを遅らせるのは無意味どころか、逆に卵アレルギーのリスクを高める可能性があることをご紹介しました。
離乳食を開始する5〜6ヶ月になったら、固茹でにした卵黄1さじから始めてみましょう。
また、アレルギー予防には赤ちゃんの頃からの保湿が重要です。こちらの記事もぜひお読みください。
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