最近、「つわりがある方がIQの高い赤ちゃんが生まれる」なんて話を聞きます。
それだけ聞くと、つわりがなかったから、頭の悪い赤ちゃんが生まれる!?と逆の心配をする方、いますよね?
しかし、そんな心配しなくて良いよっていうことを、原著論文を読んで思ったので、その根拠をご紹介します。
つわりがIQに関係すると言われ始めた理由
つわりがあると、IQが高くなるという話は、「最新科学で明かされた「つわり」と「I Q」の関係」という記事や、「100万人が信頼した脳科学者の 絶対に賢い子になる子育てバイブル」という本が発端のようです。
本記事によると、つわりが酷い人から生まれた赤ちゃんを追跡調査したところ、
学齢期に達したときには、その21%が標準的な知能検査でIQ130以上という結果をだした。いっぽう、母親につわりがなかった場合、そこまで高い知能指数をもつ子どもは7%にとどまった。
最新科学で明かされた「つわり」と「I Q」の関係 : ダイアモンド・オンライン
のだそう。
つわりのなかった人たちがこの記事を読むと、「うちの子はIQが低いってこと!?」と心配してしまいますよね。
原著論文を読むと、心配がなくなる
先の記事の根拠となっている論文を読むと、研究の主な目的は、「つわりに対する投薬(ドキシラミン)の効果と安全性」を検討するためのものだということがわかります。
この研究で効果を検討したかった「ドキシラミン」という薬は、日本では未発売。研究が行われたカナダでは、この薬がつわりに対して広く用いられているそうです。
つまり、つわりとIQの関係を検討したかったわけではないのです。
研究というのは、検討したい仮説が合っているかどうか検証するために研究デザインを組みます。
ただ、色んな解析をする中で、検討したい仮説以外でも面白い結果が出ることがあるんですよね。今回がそのパターンです。
しかし、あくまで副次的な結果に過ぎないので、その結果を過信するのは良くありません。「たまたま、つわりがあるとIQが高くなるっていう結果も出たから、関係があるかも」くらいに読んで欲しいんです。
つわりがあるとIQが高くなるは誇張しすぎ!?
しかもです!
この研究は、以下の3つのグループ
①つわりがあって、「ドキシラミン」を服用した人
②つわりがあって、薬を服用していない人
③つわりがない人
に分けて、子どもたちが3〜7歳になった時のIQの他、様々なテストが行われていますが、ほとんどの項目では有意差(統計学的に意味のある差)が出ておりません;;
論文の表に記載されている25項目のうち、有意差が出たのはわずかに5項目。(表が見たい方は、こちらのブログに載っていました)
しかも、ドキシラミンを服用していない、日本人と同じ条件下のつわりがある人(グループ②)と、つわりがない人(グループ③)で比較した場合、差がついたのはわずかに2項目。
IQに関する項目では1つも差がついておりません!!
ということで、「つわりがなかったけど、IQに影響があるんじゃ〜〜(汗)」と心配しているママがいたら、心配しないで伸び伸びと子育てしましょう!
研究の内容を一部切り取って、あたかも真実のように伝える記事を多く見かけますが、論文に目を通すと「正直、誇張しすぎでは・・・」と思うこともしばしば。騙されないようにしたいですね;;
子育てとIQの関係に関して、離乳食と脳の発達についての記事も読まれています。
コメント